ラテン・ミュージックに取り憑かれて--岡本郁生
Beats21
 日本にサルサを紹介し続ける人物といえば、まずこのボールド・ヘッド氏が思い浮かぶ。本職はラジオ屋。ジョン・カビラを有名にした番組「グッド・モーニング・トーキョー」(J-Wave)の、かつての見事な構成・選曲を担当していたのが彼だった(ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのブームもこの番組から)。
 別名「エル・カミナンテ・オカモト」。彼がリーダーとなった青山の名物クラブ・イベント「ラテン・ハーレム」は、この9月で12回目を迎える。
 サルサへの情熱は並外れている。ニューヨークやマイアミなどの本場を何度も訪れ、各音楽雑誌への寄稿はもちろんのこと、CDのコンピレイションや、サルサメレンゲといったスパニッシュ・ラテンが陽の当たらない音楽時代からたくさんのクラブ・イベントを行なってきた。
「7、8年前から東京のいろんな場所でDJをやっていて、最初はチョボチョボの入りだったんですが、少しずつお客さんも増えてきたんですね。それも、サルサを聴く人から、踊る人の数のほうが多くなってきた。サルサはダンス音楽だからそれ自体は嬉しいことなんですが、ちょっとぼくのイメージと違ってました」 
(写真は、岡本、マーク本根、オヤマによるDJトリオ、LOS BRONXXX)
岡本郁生推薦サルサ・アルバム(!)『India/Latin Songbird: Mi Alma Y Corazon』
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 東京にたくさんのクラブが乱立し、その中にサルサを専門とするナイト・スポットもいくつか話題になった。しかし、
「たくさんの人が来てくれるんだけど、お酒は飲まないし、いつしかフロアは全員が同じステップを踏むその足音しか聞えないという状態になった。形は違うけど、小学校の校庭でフォーク・ダンスを踊ってるのと変わらない。本来のサルサは、基本のパターンをもとにして男女二人が組になって自由に踊るものでしょ。自分たちなりのお洒落をしてきて、相手と楽しい時間を過ごす。そのために最適な、カッコいい音楽がサルサ、ぼくはそう思ってきたんだけど、目の前にある世界はぜんぜん違っていた。これはヤバイと思いましたよ。悪いけど、シロウトのダンス発表会だから。<私、サルサはじめました>と言う人も出てきて、そのすごい勘違いに、言葉が出ないこともありました」
 全体の流れに逆らわないことをよしとする日本人らしい習性(?)は、今も、ラテン系に限らずクラブ一般に見ることができる。岡本は、それに歯向かい「ラテン原理主義者」にして日本最高のティンバーレス奏者ウィリー長崎(写真)や、マーク本根(本根誠)、オヤマ(ロス・ボラーチョス)らと共に共闘を組んだ。
 それが「ラテン・ハーレム・プレゼンツ・バカルディ・ナイツ」だった。
岡本郁生推薦サルサ・アルバム(2)『RAPHY Y SELECTA LEAVITT/En Vivo 30 Aniversario』
イラスト=河村要助
 ウィリー長崎も岡本も、日本にサルサが定着する前から活動してきた人たちである。 
「近ごろはブエナ・ビスタが流行ったこともあって、みんながキューバ、キューバ!でしょ。違うんですよね。サルサはニューヨークなんですよ、プエルトリコ人なんですよ。似たようでいて、まるで味わいが違う。ウィリーさんはその点、一時的な流れに絶対なびかない。一途に突き進んでいる。ぼくはそういう人と、一緒にやっていきたいんです」
 かくして、クレイジーケンバンドの横山剣やスカパラなど、志のあるミュージシャンたちとの熱い交流・異種格闘技もこのイベントで始まったのである。
「たった一人でも熱意のある奴がいれば、ラテンだろうとなんだろうと<動く>とぼくは思ってます。自分が制作しているラジオ番組だってそういうところがあるし、イベントでもそうです。J-Waveの<グッド・モーニング・トーキョー>からブエナ・ビスタの火が付いたというのも、キューバ? ラテン?なんて思っていたらダメだったでしょう。いい音楽を、どう良く聴かせるかが、ぼくらの仕事だから。ぼくはラテンは好きとか嫌いとかの次元でつきあってないけど、やはり人前では、自分の熱意をどう感じてもらえるかはプロとしてバランスを取ってやってきたつもりではいますね」

*LATIN HARLEM presents BACARDI NIGHT Vol.12
2003年9月6日(土)22:00〜
LIVE:小沼ようすけ、Sembello、Willie Nagasaki & Latin Harlem All Stars
GUEST DJ: 野宮真貴、HOST DJ: Los Bronxxx
 
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( 2003/08/19 )

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