沖縄・平安隆 meets アコギスト・吉川忠英
Beats21
 沖縄のロック系ミュージシャンとして独自の活動を続ける平安隆が、アコースティック・ギターの第一人者、吉川忠英とアルバム『音遊び(うとあしび)』(リスペクト)を完成させた(2001年9月12日発売)。
「沖縄民謡ベスト・アコースティック・コレクション」と銘打った新作は、「花」「十九の春」など有名曲を取り上げた三線&ギターのインスト・アルバム。
 二人に三線の魅力、ギター・サウンドの面白さを訊いた。
 インタビュワー、藤田正(2001年8月10日)。(写真は、平安=左、と吉川の二人)

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----平安さん、近ごろ顔つきが変わってきましたね。穏やかになった。
 平安「それ、よく言われるんですよ(笑い)。ぼくは昔、(喜納昌吉の)チャンプルーズにいたわけですけど、その時はバンド以外で演奏してはいけなかったんです。それが今は、吉川忠英さんたちと出来るようになった。これが大きいと思います」
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----ソウル・フラワー・ユニオンやボブ・ブロッズマンとも共演して話題になった。
 平安「チャンプルーズを辞めたあとは、ストリートでやってた時期もあったんですけど、あの時期などは、今から振り返れば気持ちがずいぶん違ってたと思います。そういった変化が、顔に出てるんじゃないのかな」
----今回のアルバムもそうですが、平安さんは沖縄音楽といっても独特のスタンスです。
 平安「沖縄の民謡はどうだこうだと、よく沖縄の人が言うでしょ。ぼくは嫌いなんですよ。そんなこと、ぼくにはどうでもいいこと。親子3代沖縄で育たないと島唄はうたえないなんて馬鹿なことを言う<偉い方>がいますけど、たとえばそんな人が、ギタリストと共演するとまるでハーモニーが作れない。音楽が見えていないからです。出身の違うお互いが一つの音楽の中で同居できるようにするには、どうすべきなのか、ちゃんと考えていない。今の沖縄音楽って、これが沖縄だ、俺の沖縄音楽を聞け!というのばかりでしょ。だからヘンになってしまう。昔はぼくも、そうでしたから、よくわかるんです」
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----吉川さんからすれば、ギターと三線を併せるというのは、簡単なことなんですか?
 吉川「今回のアルバムは、二人が気持ちのいいことだけをやった、という感じですかね。ただ、沖縄民謡はコードを選ぶのが難しいんです。だから、ぼくだけでアレンジを決めていったら違和感が出ると思ったんで、平安君と相談しながら、ここはこのコードでどう?なんてアレンジをしていったんです。もしかすると、昔の三線音楽を聞いている人には、どうかなーと思うような曲があるかもしれませんね。
 難しかったのは<恋ぬ花(くいぬはな)>と<エイサーメドレー>でした。アレンジの段階でぼくが行き詰まってしまって。それで、先に平安君にメロディを入れてもらう、ということをやったんです。オケを作ったあとに、メロディを入れるという作業が、この2曲は逆になったんだけど、苦労したかいがあったんじゃないかな」
----なかなかに泣かせる仕上がりですね。これが吉川さんの普段のやり方とは違っていいた。
 吉川「本当はですね、もっと時間があれば、オケもメロディも二人でセーノで(一緒に)やりたかったんです。しかし、それやると時間がかかる。同じ部屋でやって、マイクを楽器に近づけた場合とか色々なことを試して、1個所でもミスがあるとその音の差し替えがきかない」
『音遊び』(RES54)
 平安「録音にかけたのは3日間だから」
 吉川「早いでしょ。このクオリティを聞いてもらえば、想像できないと思いますよ。ぼくらミックスも入れて5日間しか、時間が取れなかった。でも案外、テキパキとやったのが良かったのかもしれないね」 
----吉川さんから見ると三線とはどのような楽器ですか。
 吉川「打楽器。ギターって1拍に幅があるけど、三線は<パン>という一点しかない。<タン、タン>と、音が切れる。ビート感を出すのが難しい楽器なんだろうなって思いました。今回のレコーディングで、その辺はぼくも気をつけたつもりです。多少、三線にリバーブをかけて。そして音を太く録る。これはこのアルバムのコンセプトですね。軽々しい音にしたくなかった。平安隆ってぼくからすれば、丘の上で沖縄の風に吹かれながら孤高にそびえ立っている人物、というイメージなんです。男気。その個性をいかに、殺さないようにするか、ということです」
 吉川「以前のぼくだったら、こんな風に一緒にやれたのかわかりません。きっと包容力が出来てきたんだろうと思います。昔のぼくは、とにかく小奇麗な音を出そうとか、こだわり過ぎていた面もあった。気難しくて。彼(平安)もデビュー盤を出して4、5年が経って、色んな人と出会って、男の強さとか哀しさとか栄養がついたんじゃないのかな。
----15年ほど前の二人だったら?
 吉川「こんなアルバムは出来なかったでしょう。お互いケンがあって、怒ってばかりいたんじゃないかな(笑い)」
 平安「ぼくも忠英さんに向って、西洋楽器を持ってる奴に、何で沖縄音楽がわかるんじゃい!なんて言ってたでしょうね(笑い)」
----ある意味、年齢を重ねないとできない音楽ってありますよね。
 吉川「今回は、ベスト・タイミングだったはずですよ」
----逆に、平安さんから見たギターの魅力、吉川さんの面白いところとは?
 平安「ぼくはこれまで沖縄の音楽って、こうであるべきなんだと、どこかで思い込んでいたんでしょうね。自分らしい音楽を求めてきたんだけど、頭の隅に、そんなもの(古い体質)が残っていた。でも吉川さんのコードの使い方やアレンジを見ていて、自分がやってきたことは間違っていなかった、これで良かったんだと思ったんです。彼も言うけど、ミス・トーンがあったって、それも音楽じゃないかと」
----楽になった。
 平安「そうです。ある意味、このアルバムを登川誠仁先生ができたか、あるいはかの嘉手苅林昌先生ができたかというと、そうじゃないはずです。それは、ぼく自身がギターやマンドリン、ウクレレといった楽器の特質をつかんでいたからこそ出来たんだろうと思います。そしてまた、忠英さんも沖縄の音楽が見えていた。今、忠英さんは三線は打楽器だと言ったけど、本当にそうなんです。ぼくはその意見を今初めて聞いたんだけど、改めて彼とやったことは間違いじゃなかったと思いましたね」
(おわり)

( 2001/08/22 )

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