登川誠仁&知名定男・超満員の二人会
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 2001年9月5日、東京の青山で現代沖縄音楽を代表する二人、登川誠仁(写真)と知名定男の二人会「ゆんたくと唄遊(うたあし)び」が開かれた。
 映画『ナビィの恋』で人気を集め、新作CDも発売4カ月にして1万枚を突破するなど、島唄のシンガーとして最も注目されている登川が観れるとあって、当日券を求めて朝からファンが並ぶなど熱気あふれるコンサートとなった。
 登川は、沖縄大衆歌謡の頂点にいる大きな存在であるにもかかわらず、これまでほとんどソロ・コンサートを行なったことがない。この3月に行なわれた独宴会が唯一とされ、知名との二人会にしてもずいぶんと久しぶりのことという(記事「さすが登川誠仁、沖縄音楽の最高峰」参照)。
 青山CAYで行なわれた今回のステージも、CD『スピリチュアル・ユニティ』の発売にあわせたプロモーション・コンサートの側面もあるのだが、そのあと大阪や各地を回るのでもなく、この場所だけの1回限りの「全国ツアー」。大の飛行機嫌い、沖縄の外に出ることも嫌いという登川ならではのコンサートとなった。
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 ネーネーズを世に送り出したことでも知られる知名定男は、そんな登川誠仁が、初めて内弟子にしたシンガーである。それは1957年、知名が12歳、登川が25歳頃のことだった……。
 舞台に最初に登場した知名は、師である登川の昔話を織り交ぜながら満杯の会場を笑わせ、三線を爪弾いた。「ナークニー」、故・嘉手苅林昌の「白雲節」、彼のデビュー曲「スーキカンナ」。柔らかいミドル・トーンのボーカルが心地よい。
 内弟子での3年間は、徹底して歌を教え込まれただけでなく、なにしろ6畳一間の家だから「夫婦生活」とはどんなものなのかも早くから教わってしまった……。
 実をいうと、私の師匠は昨日、病院を退院してきたばかり……。
 こんなストレートな話が、ポロリ、ポロリと歌と歌の合間からこぼれてくる。
 別の者が同じことを喋れば、アブナい発言となるところが、知名のゆったりとした口調がそうはさせないのである。

 (写真は知名定男=リハーサル時)
 会場割れんばかりの拍手で迎えられた登川誠仁は、知名以上に人を食った発言で沸かせた。例えば……。
 私は今、八重山の名歌「ナークニー」をうたったが、本島生まれである自分には意味がわからない。わからないでうたっている。そんな歌をみなさんが、耳をそばだてて聴いているけど、わかっているのでしょうか。
 ニコニコしながら、こんなことを言う登川誠仁である。
 その姿が、なんとも可愛い。
 島唄の大御所というよりも、スター性のあるアイドルとしての魅力が充分に感じられたステージだった。
 ただこの日の登川誠仁は、最初は調子が思わしくなかったのである。
 やはり病み上がりか?と思わせたが、1部のラスト「ヤッチャー小」(知名との共演)あたりでは完全に復調し、見事な歌声を聞かせてくれた。 
 そして2部に入ってからは、登川ならではの歌世界となる。エロ歌から曲弾き、替え歌と、隣に座る知名の要望に応えて、次から次へと珍曲が登場することとなる。
 2部は知名と二人で古典曲「花風」から始まった。
 これはしっとりと。しかし次が三線のトレモロによる「君が代」。その次が三線の曲弾きによる「逆(さか)・遊びションカネー」。歌詞を逆さにしてうたう「逆・加那よー」、猥歌「真っ黒けのけ」と続いていった。
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 コンサート最後は平安隆ソウル・フラワー・ユニオンの中川敬、伊丹英子を呼び込んでの「民謡節わたり」(島唄による<演歌チャンチャカチャン>)、そしてお得意のアップ・テンポ「アッチャメー小(ぐわー)」が登場し、会場はカチャーシー状態に。
 三線の糸が吹っ飛ぶのでは?と思うほどに激しいピッキング、そして伸びやかでパワフルなボーカル。さすが登川!と思わせるに充分な歌だった。
 アンコールには、知名による素晴らしいバラード「ジントーヨーワルツ」、そして中川敬と登川によるデュエット「緑の沖縄」が。
 登川がうたい終われば、スタンディング・オベイションとなった。なかなかお目にかかれない光景であった。
 登川はコンサートのあと、「こんなコンサートは沖縄ではできない。民謡協会の名誉会長といった肩の荷を東京では取り払ってうたうことができた」と語っていたが、さっぱりとしたその姿が印象的な9月5日だった。
(おわり)

( 2001/09/06 )

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