「竹田の子守唄」というメッセージ・ソング(2) by 藤田正
Beats21
 2月16日、高田恭子さんと会いました(写真)。高田さんは「竹田の子守唄」を初めてレコードに吹き込んだシンガーです。
 彼女は1969年に「みんな夢の中」でレコード大賞新人賞を獲得しますが、その2年ほど前、「大塚孝彦とそのグループ」のリード・ボーカリストとしてこの歌をレコーディングしたのです。
 私が彼女と会うのは初めてのことです。なぜなら『竹田の子守唄 名曲に隠された真実』の取材中は、電話だけのやりとりだったからです。ずいぶん失礼な取材者にもかかわらず、高田さんはかつての自主制作盤を送ってくださり、今回のコンサートにも招待してくださいました(「昭和歌謡〜思い出いっぱいコンサート」@板橋区立文化会館)。
 開口一番、高田さんは私に向って言いました。「まだ途中ですが、藤田さんの本を読んでいて、私には『竹田の子守唄』をうたうのは大変なことだなと思いました」
 私は「高田さん、ぜひうたってくださいよ」と返したものの、高田さんは、ちょこっと首を横に振りました。
King NA42
「(私の出身地である)京都は被差別部落の問題が、東京などよりはずっとはっきりしているでしょ。だからこの問題を若い頃から知っているだけに、本にある、部落のおばあさんが赤い鳥の人たちに向って、『竹田の子守唄』をうたわないでほしいと訴えたことの意味がわかるんです」
 高田さんは、おばあさんの「痛み」や「苦しみ」を感じるという。それだからこそ、歌手として気軽にはうたえない、と彼女は言った。京都のフォーク・サークルだけでなく、東京でも当時人気だったマイク真木&マイクスへ誘われ、「第1回カンツォーネ・コンクール」で優勝するなど実力派らしい活躍をしてきた彼女だけに、その姿勢は慎重かつ真摯だった。
 60年代の半ば、京都のフォーク・ブームが真っ盛りの時、「竹田の子守唄」は音楽サークルの中で広まっていった。うたごえ運動やフォーク・コンサートの現場で、この歌は少しづつ知られるようになり、当時、京都のフォーク〜カントリーの世界で中心的な活動をしていた一人、大塚孝彦さんの耳にとまった。大塚さんは、歌のやたらと上手い高田さんをグループに引き入れ、この歌を自分たちの活動の核となした。
「後藤悦治郎(元・赤い鳥)さんが、私たちの歌声を聞いてくれて、すごく良かったって。そして彼らもうたい出した。そういう関係から、始まったんですよ」
 *写真は、自主制作盤『The First & Last/大塚孝彦とそのグループ』の中写真から。左から3人目が高田さん。
『竹田の子守唄 名曲に隠された真実』
藤田正著 2200円+税
3曲入りCD付き(1「竹田の子守唄」、2「竹田の子守唄(元唄)」、3「竹田こいこい節」/1=赤い鳥、2&3=部落解放同盟京都府連合会改進支部女性部)
解放出版社:06-6561-5273(大阪)、03-3291-7586(東京)
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( 2003/02/17 )

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