アルベルト城間「今こそ、Non Violenceのコザ暴動を!」
MYCD30144
 コザ(沖縄市)を拠点にして活躍するディアマンテスの新作『アデランテ』(M&I)が発売される(2002年6月19日)。
 アルバムの中心となる「コザ・マラビジョーサ」は、地元コザを称えた歌だが、リード・ボーカリストのアルベルト城間は「今こそ、Non Violenceのコザ暴動を!」と訴える。
 沖縄現代史の中でも画期をなす「コザ暴動」まで引き合いに出す理由は何か。アルベルトは語る。
 
 ディアマンテスコザをベースにしています。ぼくらが定期的にやっている「クラブ・パティ」もコザのパーク・アベニューにあるし、やっぱりこのマチが好きなのね。
コザ」って、今は正式な名前じゃないんですよ。本当は沖縄市。戦後、アメリカによってカタカナの「コザ市」が生まれて、そのあと本土返還後に(1974年)、沖縄市となった。
 でも、たくさんの人が未だに「コザ」って使っていて、ぼくもコザって言う。みんな愛着がある。コザって幻の国なのかもしれない。
 今度のアルバムで「コザ・マラビジョーサ(素晴らしきコザ)」という歌を作ったんだけど、最近のこのマチは昔とすごく違うでしょ。どんどんさびれて、お店も次々にシャッターを下ろしている。こんなんじゃダメだと、ぼくは思う。
Beats21
 かつて「コザ暴動」があったでしょ。返還前の1970年に、米兵が起こした交通事故をきっかけにして、ずっと抱えてきたウチナーンチュの不満が路上で爆発した事件。
 ぼくは暴力は反対だけど、文化の「暴動」は必要だと思う。特にコザにはね。
 今こそ、Non Violenceのコザ暴動を起こすべきなんだよ。だってこんなエネルギーを感じる場所はないもの。沖縄音楽が好きになったヤマトの人なら、何と言ってもコザでしょ。那覇じゃない。みんなその匂いを知っている。コザは自分たちが持っている爆発的なエネルギーを使うべき。だからずっと温めてきたこの歌を、今度うたってみたんです。
 今、沖縄の音楽って凄いじゃないですか。モンパチ(モンゴル800)の『メッセージ』が100万枚を越えたんだから。それも、ほとんどプロモーションなしで。次はHYなのかな。彼らはメジャーが争奪戦やっていると言うし。1990年代はぼくらが有名になったけど、次の若手が沖縄からどんどん出てきている。沖縄はまだまだ頑張れるし、だからかつてはどこよりも一番だったコザが出てきてほしんだ。
M&I
 モンパチは、どちらかというと都会(那覇)のバンドなんだ。ディアマンテスは彼らと一緒にやったことがあって、とっても元気で、カネの匂いがしないし、純粋だし、みんなに受けるのは当然だと思う。HYは上手だしね。
 みんなそれぞれが匂いと力を持っている。あえて言えば、沖縄にとって那覇は「頭」、コザは「心臓」。その違いは大切だし、ぼくはそれくらいにコザを思っている。
「コザ・マラビジョーサ」は、「頑張ろう」じゃなくて、ぼくらは間違いなくコザを「素晴らしい!」と思っている(だから…)という歌なんですよ。
 かつて沖縄のロックと言えばコザが中心だったでしょ。民謡もそうだよね。
 でも民謡を別にすれば、ロックで今に残っている名曲は一つもないでしょ。
 今でもかつてのコザ・ロックの「栄光」という人たちがいるけど、あれは栄光じゃない。
 ベトナム戦争の時期に賑わったかつての「栄光」を追っているようじゃダメだし、だいいちあの賑わいは、戦争と兵隊という、ささくれた心の病を負った人たちの前にあったものでしょ。これをぼくたちはよく考えなくちゃ。悪い意味で、繰り返しになってしまう。
 *写真は、ディアマンテス(撮影地、沖縄市)
Beats21
 戦後の沖縄を本当に癒した人って、照屋林助さんなんですよ。
 この人もコザの方。悲惨な沖縄に、小さくても光があるよと言った方、それが林助さん。
 ディアマンテスは「コザ・マラビジョーサ」のビデオ・クリップで林助さんに登場してもらうけど、これには理由があるんですよ。
 でも、こういうことを言えるのも、ディアマンテスのメンバーや、その周りにいる人たちの多くがコザに住んでいないからかもしれない。ぼくも読谷(よみたん)だから。
 コザは特別な所なんだよね。ここから戦後沖縄の音楽が始まった。それが見える。
 だからぼくは、独自でコザの音楽を盛り上げようと思っている。
 これは読谷も、勝連(かつれん)も、糸満などとも同じ。協力してね。勝連には平田大一がいるでしょ。
 でもすでに始まっている沖縄市の「ミュージック・タウン構想」なんてのには乗りたくない。大きなハコモノを作って、そこでコンサートをやって、というのは日本各地で結論が出ていることでしょ。来年にオープンする「国立劇場おきなわ」と鈴木宗雄氏の密接な関係もふくめて、もうそういうのを止めにしたい。
 まず音楽を、文化をちゃんと作ってから始める。
 ぼくら、これからやりますよ。

( 2002/05/23 )

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