ディアマンテスのレア・グルーヴィン…アルベルト城間
M&I
 ケ・ウムサンヤ〜。「いやぁ面白いなー!」という意味である。スペイン語とウチナー口と組み合わせて、いかにもディアマンテスらしい。
 ディアマンテスにとって『ケ・ウムサンヤ』は通算10枚目のアルバムである。CDの表紙に戦後直後のコザの写真が使われていて、中味は1曲目が「Hey! ニーセーター」、2曲目が「十九の春」、3曲目が「オキナワ・ディスコナイト」と続いてゆく。どれも沖縄で作られた歌のカバーをしているのだが、それが自分たちディアマンテスの背景を説明しているのだとベト君は言う。
「ベト」というのは、アルベルト城間の愛称である。ペルーに生まれたウチナーンチュが単身、飛行機で日本へやってきた。その時の不安や差別体験をもとにしてベトが書いた歌がディアマンテスの出世作「ガンバッテヤンド」だった。ガンバッテヤンドも、頑張って、いくぞ、という日本語とスペイン語の造語である
 それから10余年が経って、ディアマンテスは沖縄ポップの中心に位置するバンドになったが、彼らにとって画期となる今回のアルバムを、アルベルトは新作書きおろしの作品にしたくなかったと言う。
 コザをベースにして、島唄から米兵相手のロック、ディスコに至るまで、自分たちの血と肉となった音楽に敬意を払いたい。それも、かしこまってではなく、ケ・ウムサンヤ〜。
 だから沖縄の演歌歌手、翔ゆたかの伝説の名唱「オキナワ・ディスコナイト」、60年代のウチナー・コーラス「Hey! ニーセーター」(ホップトーンズ)、佐渡山豊のフォーク「ドゥーチュイムニィ」など、ジャンルにまるでこだわらない「最高のローカル・ミュージック」(アルベルト城間)をカバーした。晩年の嘉手苅林昌のボーカルとペルーの名曲をミックスさせた「カイサレー〜タマリト」もユニークだ。
ディアマンテスだけじゃなくて、ぼくら沖縄で音楽をやっている人間は、もっと自分の足元を見つめないといけないよ。沖縄音楽、今はヤマトの人も注目してるけど、このままだと相手にされなくなる、きっと。あと2、3年後は、どうなってるんだろう。だってみんな(取り組み方が)テキトーだから。なるほど面白い! と思ってもらえるような音楽を作るにはと、ちゃんと考えないと。ぼくらの『ケ・ウムサンヤ』はそういうつもりで作ったんですよ」

amazon.com-『ケ・ウムサンヤ』
ディアマンテス・ツアー:
6月11日・名護市ミュージックカフェ城/同12日・北谷町美浜THIRD FLOOR/8月1日・渋谷クアトロ/9月26日・日比谷野外音楽堂(琉球フェスティバル'04)
 

( 2004/05/22 )

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