島唄とポップスの橋渡しになれたら…神谷千尋デビュー
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 神谷千尋は、2003年4月にアルバム・デビューする島唄の新星である。 
 若手のマルチ・プレイヤーとして活躍する與 那 覇 徹よなはとおると同じく、本島中部をベースにする彼女は、現在二十歳。沖縄・奄美の音楽に焦点を当てた新レーベル「blue inc.」の最初のアーティストとしてスタートを切った。
 アルバムは『美童しまうた』。プロモーションのために東京へ来た彼女に話を聞いた。

 神谷千尋の出身は、本島の東海岸、勝連半島と向かいあう津堅島に生まれている(1982年)。千尋は小さい頃から沖縄の歌に親しんでいた。というのも、父は父のきょうだいや、親戚たちと民宿「神谷荘」を営み、中では民謡ショーも行われていたからである。
 神谷荘は今も営業しているが、ここに彼女にとってオジサンにあたる神谷幸一もたびたび訪れた。神谷幸一は、のちに千尋の師匠となる島唄のベテラン・シンガーである。
blue inc.
 80年代に生まれた千尋にもかかわらず、十代で三味線(三 線さんしん)を習っているとは同級生にもなかなか言うことが出来なかったそうだ。與那覇徹も同様の発言をしているが、現在20代の彼らにとってすら、沖縄にあって三線を習うことは「ちょっと変わったこと」だった。沖縄は昔から誰もが揃って歌と三線をたしなんでいたというのは、間違いである。みんな(特に若い世代)が普通に三線を持つようになったのは、りんけんバンドや、そのあとのBEGINらの活躍が大きいと彼女は言う。
 しかし現在の千尋にとって、島の音楽や踊りにあふれた津堅島での少女時代は、かけがえのないものとなった。
「津堅島という田舎の生活は大きいですね。もし違う場所で生まれ育っていたら、こんなふうになっていないと思います。私の原点は島唄です。島唄をやってきたからこそ出せることがあるし、それを同世代の人たちにも聞いてもらえたらと思います」
 沖縄でもあまり島の歌に馴染みのない若い世代に、沖縄らしい音楽の良さを知ってもらいたい。自分はそのための、橋渡し役になれたらと、千尋は言う。
 アルバム『美童しまうた』は、これからの沖縄のポップスをリードするであろう人たちのバックアップによって制作されている。
 上地正昭(パーシャクラブ)、上地一成(しゃかり)…彼ら二人は元・りんけんバンド、そして與那覇徹によるサウンドは、けれん味のない涼やかな千尋のボーカルの魅力を引き出すことに成功している。
「民謡をうたっている時は、綺麗に丁寧に、そして上手にと、尊敬する先輩たちに近づこうとしていたんですが、今回はみんなに(島唄じゃないんだから)自分の思うとおりにうたいなさいと指示されて、思い切ってやりました」
「いい歌はこのアルバムの中にたくさんありますが、私が一番好きなのは『空よ海よ花よ太陽よ』です。沖縄の戦争をテーマにした歌ですが、なにより平和が一番ですよね。私たちは、戦争ってどんなことだったのか身近な体験者からいつも聞かされてきましたから」
 まだ二十歳の若いシンガーが、これからの沖縄音楽にどのような一石を投じるのか、期待したい。
 *アルバムはポニーキャニオンから、2003年4月16日に発売。
 
Amazon.co.jp−『神谷千尋/美童しまうた』

( 2003/03/07 )

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