追悼の10周年:テレサ・テン、日中関係緊迫の時に甦るチャイニーズ・クィーン
ジェネオン
 中国本土における反日のデモに収まる気配がない。来る5月4日は、1919年の反日救国運動「五・四運動」(1919年)の記念日にもあたり、かつての侵略戦争の遺恨と結びつき、さらに緊張が高まることが懸念されている。
 そして5月8日は、テレサ・テンの命日。今年は10周忌にあたる。中華系シンガーの中でダントツの人気を誇り、それゆえに台湾と中国本土の政治的思惑に動かされ、そして天安門事件では反権力の立場を明確にした女性、それがテレサだった。
 今年はそんな彼女の功績を再評価する豪華ボックス・セット(写真)や、彼女の謎に迫るルポルタージュ本が話題を呼んでいる。

テレサ・テン 歌姫伝説』(2005年4月22日発売)は、DVDにCDと書籍が付いた豪華なボックス・セット。DVDは「素顔のテレサ」と題したドキュメンタリーで、10代のテレサ、台湾軍慰問風景など古い映像や、彼女のインタビュー映像などが収められている。
 CDは「永遠のベスト・テン− テレサ 愛の歌」と題して、純金使用ゴールドCD、24 bitリマスター、ルビジューム・カッティングによる高音質仕様。日本でのヒット…「愛人」「何日君再來(日本語)」「空港」「つぐない」「別れの予感」などが収録されている。
 本は「テレサ・テン 42歳の生涯」と題して、多角的に彼女の魅力を探ったものだ。
 このボックスには、彼女の最高傑作と言われる『淡淡幽情』などの録音は入っていないが、日本の熱心なファンにとってはマスト・アイテムと言えるだろう。
 
 有田芳生による『私の家は山の向こう―テレサ・テン十年目の真実』は、その丁寧な取材でじっくりと読ませるルポルタージュだ。
 テレサとの約束を、死後10年を経てようやく一冊にまとめ上げたもので、「日本では『演歌歌手』と捉えられている彼女の素顔は、じつはそう単純なものではありませんでした。その背景にあるアジア現代史。中国政府がテレサ・テンの存在を重視し、政治的に利用することを企んだことは、『機密文書』などを発掘することではじめて明らかにすることができました」(著者自身によるコメント)とあるように、こんなにも可憐で誠実な女性が、時代と政治の大きな波の中で苦悩していた姿を、きちんと描き出してみせた。
 特別付録として、有田によるテレサへのインタビューと、この本のカナメとなる1曲「私の家は山の向こう」の問題のライブ(89年、「全世界華人抗議デー」@香港)もCDとして聴くことができる。

Amazon.co.jp-ボックス『テレサ・テン 歌姫伝説』(DVD+CD+書籍)
Amazon.co.jp-有田芳生著『私の家は山の向こう―テレサ・テン十年目の真実』
Amazon.co.jp-CD『淡淡幽情/テレサ・テン』
 

( 2005/04/19 )

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