第23回沖縄タイムス出版文化賞・正賞受賞作品。
名実ともに沖縄音楽の最高峰にあるシンガー、
登川誠仁 が自らの破天荒な半生を語る。
小さい頃から歌と三線に魅せられ、親に怒られようが学校もろくに行かず、一人で練習に励むような人物だった。やんちゃでいたずら好きの性格は、敗戦後、彼が米軍キャンプの下働きに出た時もいかんなく発揮され、当時「戦果」と言われ沖縄で広く行なわれていた米軍物資の横流しビジネス(?)で大金をつかむことになる。そして、まだ少年だというのに軍法会議にもかけられる。
このような逸話が満載された本書は、沖縄の大衆がどのようにして敗戦のドン底から這い上がってきたかを生々しく 蘇 らせると同時に、これまでほとんど語られることのなかった戦後沖縄大衆音楽が、登川を中核的人物の一人として、全盛を迎えたかを浮き上がらせる画期的な内容となっている。
音楽を通じた文化論としても出色の作品。
登川誠仁著、藤田正構成 新潮社 1600円+税 2002年初版発行
新潮社:03-3266-5111
Amazon.co.jp−『オキナワをうたう 登川誠仁自伝』