2001年、約５年の刑に服し出所したはいいものの、故ノートリアスB.I.G.に関する殺害首謀者としての疑いほかをかけられていたデス・ロウ・レコード（現ダ・ロウ Tha Row）のトップ、マリオン・シューグ・ナイト（写真）が、事実上の無実宣言を行なった。
　2002年１月８日、ロス地裁で行なわれた裁判では、二つの税法違反が罪に問われただけで、数年間に及んだ彼に対する殺人などの捜査はこれで打ち切りとなるようだ。
　マリオン・シューグ・ナイトは、トゥパック・シャクール、スヌープ・ドッグ（元スヌープ・ドギー・ドッグ）、ドクター・ドレなどを擁し、西海岸を拠点に黒人が経営するハード・コア・ラップのレーベルとして90年代以降、爆発的なヒットを次々に放ったことで知られる。
　ロサンゼルスのギャング集団との関わり、暴力事件、麻薬売買と、デス・ロウとナイトの周辺は常に暗いウワサが絶えなかったが、レーベルのスターだったトゥパックがナイトの車に乗車中に暗殺された時から（1996年９月）、捜査当局の関心も際立って高まり、翌10月にナイトは仮釈放違反（かつての暴力事件のもの）で収監された。

　そして1997年３月、トゥパックらデス・ロウ一派と敵対関係にあるとされたニューヨークのノートリアスB.I.G.が銃弾に倒れる。
　この暗殺は、塀の向こう側にいるナイトによる命令で行なわれたと世間ではウワサされ、FBIほかの捜査当局もトゥパックとノートリアスの死の背後にいると目された彼の闇の部分の洗い出しにかかった。
　しかしながら、税法上の違反を除けば、この５年間、なに一つ重罪の証拠となるものは発見できなかった。
　ナイトは、こういった経緯に関して「（何かと騒ぎ立てる）メディアによる人種差別である」とし、同じことがハリウッドの白人のお偉いさんに起こったらその対応はまるで違ったものになったであろうとコメントを寄せている。
　
　なお、TLCのリサ・ロペス（写真）は、ナイトのダ・ロウとソロ契約をしたばかりで、名前も「N.I.N.A.（New Identity Non-Applicable）」と代えるという。